Ayameikeあやめ池 井上雅由

Tuesday, December 19, 2006

持続可能な心豊かな社会を目指してのまちづくり


持続可能な心豊かな社会を目指してのまちづくりに関して
    あやめ池下池の埋め立による道路建設、駅前広場建設を考える

 今、日本は少子高齢化の社会になりました。また異常気象や談合、汚職、いじめ、自殺など社会全体が病んでいるとしか思えない報道が続いています。私たちは、より豊かに、より便利に、より快適にと邁進してきました。そして、豊かな生活を手に入れましたが、それと同時にかけがえのないもの失ってしまいました。本当に豊かな生活、社会とはどんな社会か子どもたちに引き継ぐ幸せな社会をじっくりと考える時機です。
 齢化社会による問題点は人々の自由な移動ということも重要な問題です。高齢化によって運転免許をいつまで持ってマイカーで移動するのか?運転免許を返還した時、この人々は移動の手段を失い、不便と言われている公共交通に頼らざる得なくなり、移動の自由は確保できなくなります。しかし、この問題を解決することは簡単です。コニュミティバスの運行など公共交通優先の交通システムを作り上げることで解決します。よって、新しい道路、駐車場に投資するのではなく、社会システム作りに投資することが肝要です。
 共交通優先の交通システムは、車を運転できない人々の移動の自由を確保するのみだけでなく、マイカー利用の削減をもたらし、マイカー利用の削減は地域社会や地球環境に限りなく良い影響をもたらします。交通事故の減少や道路建設の理由となっている交通渋滞が緩和され、新しい道路が不要になり、救急車など緊急通行の必要がある車が自由に通行でき、渋滞による到着遅れが解消されます。地域の人々が触れ合う機会が増え、仲良くなり人の繋がりが戻り、犯罪の減少が期待できます。 生活環境面では、大気汚染、水汚染、騒音の減少に繋がり、事故の心配も減ります。一方、地球規模の問題である地球温暖化の主要原因である車からのCO2排出が削減されます。
 上記の通り、公共交通優先の交通システムは福祉問題、環境保全問題などを解決する答えとなります。今まで歩いてきた道では、本当の幸せを実現できないことに気がつきました。今までの考えを大きく転換して、真の豊かさを実現するための新しい道を歩くことが、今吹き出している問題を解決する早道です。
 、あやめ池遊園地の跡地利用に関連して、都市計画道路平城学園前線をあやめ池下池を埋め立てて道路の位置を変更する、駅前広場を建設する計画原案が議論されております。
 上記の高齢者福祉、地域のコミュニティ、環境保全の視点からこの原案を検証する必要がありますが、この原案では道路建設、駅前広場建設だけが提案されており、どんな交通システムで、どんな社会にするのかが提案されておらず(これは、あやめ池遊園地跡地利用検討会の提言でも同様で、理念は記載されているが、具体策は記載されていない。)昔の開発型の時代錯誤の計画となっています。
 現在、公共事業は、破壊した自然を取り戻すために、コンクリートで固めた護岸を自然に戻す工事、ヒートアイランド現象を緩和するためにわざわざビルの上を緑化する工事などを進め、いかに自然に戻すかを考えています。また、人間のことだけでなく、そこに住む動物そして植物の命も考慮して事業計画することが当然のこととなっています。幸いこの地は身近に自然が残っておりますのでこの身近な自然をいかすことで新たな工事(支出)は必要でなくなります。
 又、あやめ池は鎌倉時代に西大寺の中興の祖興正菩薩・叡尊上人が社会事業として造った池と言われており、国の史跡級の池(大和国西大寺領之図:東京大学文学部所蔵)であり、文化財保全の観点からの検討も必要です。世界遺産のまち古都奈良から歴史を発信しようと平城京遷都1300年記念事業を推進している一方で、価値ある史跡を埋めて道路を建設することは許されることではありません。
 治水利水面では、大雨時に一度に流さずに如何に水を溜めるかが問題となっており、学校の校庭などは、お金を使って水を溜める構造に整備してまで努力しています。今後は溜め池を造る時代が来るかもしれません。すでに東京は地下に巨大な貯水設備を作っています。
 上記の通り、少子高齢化が進む、地球環境問題解決が優先課題となっているこれからのまちづくりを考えた場合、あやめ池を埋め立てて道路を造るこの原案は時代に逆行する計画で見直しが必要であり、池を埋め立てることはあやめ池地域の価値を低下させ、更には世界遺産のまち奈良の価値を低下させるため、やってはいけないことです。
 小学生が言っていました「あやめ池の池を埋めたら、ここは“あやめ”になる」と。

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